歩戸巣荘

笑いの本質


〇前提

哲学者H.ベルクソンによれば、笑いが起こるためには3つの前提があり、

人間的、
無感動、
一般社会に自分が組み込まれていること

だそうです。

人間的とは、動物が人のような行動をしたり、帽子の形が人によってユニークな形にされたりと、
とにかく人の感覚が中心になっているということです。

無感動とは、悲哀や愛情といった感情が笑う瞬間には無いことです。ベルクソンさんは、「感動は笑いの大敵」とまで言っています。

そして、一般社会に自分が組み込まれており、社会の共通認識という固定観念が自分の心の中にある。

これらの前提があって初めて笑いが起こります。
笑いは個人や社会の習俗を懲らしめることで、社会機能を向上させる役割を持つと考えられています。


〇笑いと不気味

ちなみに、笑いと不気味の違いは、恐怖・不安を?き立てるかどうかの違いです。
笑いが起こるのは飽くまでも自分が客観的な立場に居られる時です。
自分の身に危険が迫ることを連想する時、笑いは不気味になります。ホラー映画を見ている時なんか、主人公に感情移入して他人事とは思えないから恐怖するのです。


〇ネタ作り

そんな前提を踏まえて、ネタを考えるときに重要なのは意外性と共感かと思われます。

意外性とは、「ええっ、そんなことするの!?」という驚きのことです。
常識から外れた大げさなネタから読者の一歩先を行く鋭いツッコミまで意外性が重要になります。

一方、共感とは、「ああ、確かにそうなるな」「それ分かる〜」という、あるある感のことです。
ベルクソンさんが言う通り、社会の共通認識が読者の心に無いと成り立ちません。
ボケてるけどなんか意味が分かるネタ、読者が思うことを代弁するツッコミ、気まずさを表現したネタなどに共感は生まれます。

この意外性と共感がバランス良く盛り込まれたネタが万人受けするネタ、爆笑ネタになるはず…。
そんなすごいネタをたくさん考えたいもんです(^^)


参考;笑い/不気味なもの 著者 H.ベルクソン/S.フロイト 訳 原章二